前立腺癌
     
         
 

(概念)
  泌尿器系の癌の中で近年もっとも増加傾向にあります。欧米ではもともと頻度の高い病気で、日本人には比較的少ないとされてきましたが、欧米に似たライフスタイルとなってきて、特に最近増えてきているようです。近年PSA(前立腺特異抗原)を測定するようになってからは、早期診断も可能になってきました。

 

     
 

(症状)
  前立腺肥大症とは発生部位が異なって、どちらかというと前立腺の外側の方に発生しやすいので、排尿困難などの自覚症状が出にくい傾向にあります。前立腺癌特有の症状はありませんので、前立腺肥大症と同じように、排尿困難、頻尿などの症状があるようでしたら、早めに検査を受けた方が良いでしょう。


     
 

(検査・診断)
  癌の場合は前立腺に硬いしこりができますが、早期の場合はしこりを触れないことも良くあります。直腸診(肛門から指を挿入する診察)で異常がある場合、またはPSA値が高値を示す場合には前立腺の精密検査を行います。
前立腺の精密検査では経直腸超音波検査と前立腺生検を行いますが、施設によってはMRIを行うこともあります。前立腺生検は経直腸で行う事が多く、超音波ガイド下に直腸の方から針を刺して6−10本の前立腺組織を採取します。もし癌が見つかれば、どの程度進行しているかを検査します。シンチグラム及びCT等で骨、リンパ節などをまず検査します。その結果転移がなければ早期前立腺癌と診断されます。

 

     
 

(治療方法)
  基本となる治療法は内分泌療法、根治的前立腺切除術と放射線療法になります。この治療法を症例症例で使い分けることになります。

内分泌療法:男性ホルモンを除去する治療です。前立腺癌は男性ホルモンがなくなると、癌が縮小して行きます。早期癌であれば内分泌治療で十分な効果が期待できますが、進行癌の場合は、初回治療で80%の有効率があるものの、約半分は数年の後に抵抗性となって再発してきます。
根治的前立腺切除術:根治治療として早期前立腺癌で比較的若年者(70歳以下)におこないます。術後の合併症として尿失禁、勃起不全がおこりやすく、ある程度の技術を必要とする手術です。近年は腹腔鏡下の手術も行われていますが、熟練が必要で一般に広がるまではまだ時間がかかりそうです。
放射線療法:根治的治療を目的として行う場合と、進行癌で局所の進行を抑えるときなどに行います。手術と違って70歳以上の比較的高齢者にも行うことができます。
HIFU: 早期前立腺癌の低侵襲治療です。直腸から挿入したプローブにて前立腺癌を焼きます。保険適応外です。

(予後)
  早期癌の場合は予後は良好で、手術、放射線治療では10年生存率は90%になります。進行癌の場合は転移の状態にもよりますが予後3〜5年と考えられます。