泌尿器科NEWS

2014年2月19日 水曜日

前立腺癌、高齢者も積極治療を

 順天堂大学大学院医学系研究科泌尿器外科学教授の堀江重郎氏は2月17日、サノフィ社主催の記者向け意見交換会で「高齢者前立腺がん治療のパラダイム・シフト」と題して講演した。近年急増し、高齢者でより悪性度が高く、死亡リスクも高い前立腺癌。堀江氏は治療法の発展を背景に、「健康な高齢者なら積極的に根治的治療を検討する価値がある」と解説した。PSA値はライフスタイルの改善で低下するため、PSA監視療法中の患者では、積極的に生活指導も行う必要性も強調した。

前立腺癌は死亡原因にならない?

 東京オリンピック開催予定の2020年には、前立腺癌は、肺癌の次に多い男性癌となり、年間約8万人が罹患し、約2万人が亡くなるとの試算がある。罹患者数は約6倍(1995年比)、死亡者数は約3倍に上る(2000年比)。「高齢者の癌」と思われがちだが、40代からの若年発症も増えているのが現状だ。

 堀江氏は「『前立腺癌では死なない』というイメージは間違い」と指摘する。高齢者ではより悪性度の高い前立腺癌が多くなり、55歳と比べ75歳では死亡リスクが2倍になる。しかし、高齢になればなるほど根治治療を施行する割合は減っているという報告もある。堀江氏は「高齢者でも治る可能性は少なくない。年齢による画一的な治療でなく、健康状態が良好であれば、高齢者でも積極的な治療を検討すべき」と言う。

 前立腺がんの治療は進歩している。例えば、去勢抵抗性前立腺癌に対する標準治療であるドセタキセルでは、70歳代でも若年者と同等の効果と忍容性が望めるという報告が2011年のASCOで発表されている。また、費用の問題はあるが、ロボット支援システム「da Vinci」を使用した手術では、用手では難しい繊細な縫合が可能で、出血量が低く抑えられる上、根治率が高く、より術後QOLを保てるため、患者負担の少ない手術と言える。

 順天堂大は現在、東京大学医学部付属病院老年病科と共同で、高齢者総合機能評価(CGA)に基づいて、癌治療への適応を見極めるためのスコアの作成を検討しているという。

牛乳と焼き鳥は控えめに

 前立腺癌にはライフスタイルが大きく影響している。堀江氏は、国によって罹患率に差があるという疫学的証拠に加え、生活改善でPSA値を下げられることを証明した報告を紹介。順天堂大学では、PSA監視療法中の患者に対して食事内容の調査を中心とした生活指導を実施している。

 堀江氏によると、食生活は前立腺癌の発症に大きく関わっている。まず高脂肪食は良くない。ω-6脂肪酸だけでなく、最近ではω-3でも摂り過ぎない方が良いと言われている。また、牛乳や乳製品の摂取が多い国は前立腺癌が多いことが分かっており、40代以降では無調整牛乳より低脂肪乳が良いだろう。食塩も酸化ストレス促進で悪影響を及ぼす可能性があるほか、過剰飲酒や肥満も危険因子の一つとなる。さらに意外な食品として、堀江氏が挙げたのは「焼き鳥」。熱した鳥の油がリスクを上げるという知見が出てきているという。

 一方、リスクを減らす食品として、堀江氏は、トマト、大豆、緑茶、カレースパイス、ブロッコリーや小松菜などのアブラナ科の野菜などを紹介。前立腺癌を予防する生活習慣として、「動物性脂肪、塩分を控えた栄養バランスの良い食事を腹八分目。禁煙、節酒、適度な運動に加え、なるべくストレスをためないこと」をアドバイスするように勧めている。

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 高齢者も積極治療と述べてありますが、積極治療とはいわゆる根治治療(根治手術、根治放射線治療)を指しているものと思います。勿論、元気で根治治療を望まれる方は、是非そうされた方が良いでしょう。前立腺癌の治療にはあと一つ内分泌治療があります。男性ホルモンを出来るだけ減らす事により、癌を消して行く治療です。従来から行われてきた治療ですが、この治療も有効率は高く、ご高齢の患者さんには十分に選択すべき治療の一つと思います。


投稿者 すやま泌尿器科クリニック | コメント(0)

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